小説目次へ  次へ

Ocean's Blue

000:プロローグ

  物心ついた頃にはもう船の上だった。少女の父はルーンミッドガッツ王国
屈指の豪商であり、王国の各地の交易を大々的に行っていた。そのため少
女は幼いときから父に連れられて、世界をまわっていた。
 長い船上生活を強いられるために、同年代の友達も出来ず少女はいつも
寂しい思いをしていた。その寂しい思いをまぎらわすために、少女は今日も
船の手すりから少しだけ身を乗り出してずっと海を見ていた。いつも見てい
る同じ景色、流れ行く波、やわらかな潮風。嫌いではない…けど好きにもな
れない、いつも見ている同じ景色。
「お前何してんの?」
「きゃう!」
 急に後ろから声をかけられた少女は可愛い悲鳴とともに飛び上がった。少
女が慌てて後ろを振り返ると、そこには少女とほとんど年齢が変わらないの
ではないかと思われる旅装束に身を包んだ少年が立っていた。
「一人で何してんの?」
 少年は少女の顔をのぞきこんだ。少女は少年から慌てて顔をそらすと、さ
もつまらなさそうな声で答えた。
「海見てるの」
「海?」
「うん」
「海見て楽しい?」
「つまんない…かも」
 いつも見ている同じ景色に少女は正直な感想を述べた。その様子を見て
いた少年が少女にさらに質問した。
「もしかして友達いないとか?」
 図星。少女は寂しそうに顔をうつむかせた。友達がいないのは慣れたが、
改めて人から言われるとやはり辛い。
「だったら…」
 少年が少女にニカっと笑いかけた。
「俺がお前の最初の友達だな」
「えっ」
 少女は素っ頓狂な声をあげると、ぽかんとした表情で少年の顔を見つめ
た。
「嫌なら別にいいけどさ」
「う、ううん!そんなことない!」

 その日、少女に初めて友達ができた。

 ◆

「でさ、茂みの中からこ〜〜〜〜んなデカい赤芋虫がでてきてさ」
「う、うあー」
「必死に逃げ回って川に飛び込んだら赤芋虫の奴が追いかけてくるのやめ
たんだ。水に入れないのかもな」
「で、で?それでそれでその後どうしたの?」
「川岸で焚き火してたらオヤジが見つけてくれたよ」
「あはは、よかったね」
 少年もまた父親とともに世界各地をまわっていた。ただ少女と違い、少年
は世界各地を様々な目的をもって旅する冒険者だった。少年は少女に色々
な冒険譚を話した。
 ミョルニール山脈で父親とはぐれ、巨大な赤芋虫に襲われたこと。興味本
位で蜂の巣をつついた後、ホーネットと呼ばれる巨大蜂の大群に追われた
こと。父親とともに潜った廃坑の奥で、スコップを持ってヒゲを生やした
変てこな妖精に出会ったこと。
 少年の話の全てが新鮮だった。少女は毎日のように少年の色々な話を聞
いたり、船内で遊んだりしていた。


 その様子を遠巻きに少女の父と少年の父が船上にもうけられたベンチに
座ったまま見つめていた。
「あの子に友達が出来たと聞きましたが、まさか貴方のご子息とは」
 少女の父がそう言うのを聞き、少年の父が笑った。
「いや、それはこちらもだ。この船に貴方がのっているとは思わなかった」
「私はアルベルタの商人ギルドの評議員の一人ですが、やはり現場の方が
性に合いますよ。それよりも…」
 少女の父は一拍の間を置いた後、口を開いた。
「何か進展はありましたか?」
 少年の父は少しだけ辛そうな微笑を浮かべた。
「まだ手がかり無いな。まるで雲をつかんでいるかのようだ」
「そうですか…すみません」
「いえ、貴方が謝ることではない」
 少女の父はそこでポンと手を叩いた。
「お詫びというわけではないですが、明日アルベルタについたら私の家にし
ばらく滞在しませんか?随分と旅を続けていらしたみたいですし、それに…」
 少女の父が、今まで見たことも無いほど楽しそうにしている自分の娘を見
た。
「あの子があんなに楽しそうにしているのは初めて見ました…」
 少年の父はしばし考えた後、口元に柔らかな笑みを浮かべた。
「ではご好意に甘えて、しばらく厄介にならせてもらうよ」
 その夜、少年と少年の父がアルベルタの実家にしばらく滞在することを聞
いた少女は飛び上がらんばかりに喜んでいた。

 ◆

 少年と少年の父は一ヶ月ほどの滞在を経て、再び旅立っていった。

 少女は忘れない。少年と過ごした日々を。

 大切な想い出だから。

 忘れない。

 初めて出来た友達の、あの少年の事を。

 [続]


〜あとがき〜
予告してからえらいこと長くお待たせしました。RagnarokOnlineの小説
「Ocean`s Blue」です。つーわけで先に注意点を。
 「Ocean`s Blue」はRagnarokOnlineの世界観をモチーフにした小説です
が、多少『違う』部分が出てくるかとは思いますが仕様ですのでツッコミは無
しで(ぇ 完璧になぞらえたら凄いことになります。アサシンはピクミンと呼ば
れ、最強厨が跳梁跋扈し、ボスは瞬殺されるという凄い小説に(;´Д`) 
 小説なのでキャラ名が出ますが、RO内に同名の人物が存在しても全くの
無関係です。トレントが考えたキャラですのでご了承ください。
 ギルド名も出ますがRO内に同名の…って言い続けたらキリがないので省
きますが、要するにアレです。生暖かい大人の反応で読んでくださいつーこ
とです。


    小説目次へ  次へ

トレントの樹海TOPへ

広告 [PR]スキンケア  転職 化粧品 無料 ライブチャット