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Ocean's Blue

013:樹海団現る

 砂漠にはペコペコという巨鳥が棲んでいる。ペコペコは空を飛ぶことはでき
ないが強靭な足腰を持っている。そのためプロンテラの騎士や聖騎士はペ
コペコを手なずけ、馬などの代わりの移動手段としてしばしば用いている。
 そしてまた一人、砂漠の都市モロクへとペコペコにまたがった男の騎士が
やってきた。その騎士の後ろには一人の女性プリーストが相乗りしており、
砂漠を無事越えてきたことにホッと胸を撫で下ろしたようだ。

 騎士とプリーストはモロクに入るとすぐに見知った顔が待っていることに気
づいた。待っていた女ローグ、ルアーナが微笑む。
「随分早かったね、マスター、それにエレン」
「ああ、近道のゴブリン森突っ切って来たからな」
 「雷獣の咆哮」ロウガ=ブラストと対立するギルドのマスターである銀髪の
騎士と、そのギルドメンバーの女性プリースト、エレンはレイ達がモロクに着
いた次の日、同じくモロク入りした。

 ゴブリンの森にはゴブリン達の屍で道が出来ていた。

 ◆

〜モロクのとある宿〜

「いーんじゃない?」
「私は構いませんけど」
 その日の夜、新たな仲間であるイアルとティアの事を紹介した時のジュニ
アとエリカの反応は実にあっさりしていた。レイは半眼になりつつ2人に聞い
た。
「何だかどーでもよさそうだな…」
「違うって、どうせウェルガが現れないとやる事ないんだしさ、人数多い方が
普通に楽しいと思うだけ」
「む」
 ジュニアの言葉にレイが図星を指されたのか押し黙る。ジュニアはティア
の方に視線を向けた後、握りこぶしを作ると、天を仰いだ。
「それに!ここで幼女が一人追加されるなんておいしすぎるじゃないか!」
「私は13才です!」
「俺はどうでもいいんかい…」
 ティアとイアルがそれぞれ感想を述べる。さらにイアルがレイを肘でつつい
た。
「で、だ。こいつが例の似非バードなわけか?」
「ああ、凄い似非だ」
 ジュニアが気分を害されたというようにどこからともなくギターを取り出した。
「そう言うなら僕の魂のビートを聞かせてあげるよ!」

 ぽむ

 フィリがジュニアの肩に手を置く。
「妹にセクハラしたら殺しちゃうよ♪」
「聖職者が殺人予告…」
 エリカがジュニアの肩に置かれたフィリの手を見て恐怖に震え上がる。さっ
きからミシミシと音がしているからだ。
「ふぅ…僕は本能に忠実なだけなのに…」
「下半身に忠実なんだよな…」
 レイが呆れた表情を浮かべる。そこでティアが口を開いた。
「似非バードのお兄ちゃんとクルセイダーのお姉ちゃんの名前を聞いてない
んですけど」












 お兄ちゃん

「ぐぐはぁぁぁああああああああああああ!!」
 ジュニアが部屋の床で転げ回った後、壁にぶつかり動きが止まった。
「す…すばらしい…っ!これがっ!お兄ちゃん…っ!!」
「うわっ…俺こいつと同レベルかよ…」
 イアルがその様子を見て、激しく落ち込んだ。ジュニアがガバリと身体を起
こし、感動に打ち震えていた。
「人間っていいなぁ…人間って…いいなぁ…」
「あのな…どこで感動してるのか全くわからないんだが…」
 レイがそう言うと、ジュニアの表情が鋭いものに変化した。
「わからないのか…っ!!お兄ちゃん!これを呼ばれて感動しないのはモ
グリだ!外法だ!」
「いや普通感動しないから…」
 レイが疲れた表情をしながらエリカの方を振り返った。
「エリカからも何か言ってやってくれよ」












 お姉ちゃん

「ハァハァ…お姉ちゃん…なんて…素敵な響き…」
 レイが振り向くと、エリカが部屋の壁に両手をつき感動に打ち震えていた。
「…もうイヤだ…」
「レイ…頑張ろうね…」
 レイとフィリが目の幅涙をどばばーと流す隣でティアが、控えめに呟いた。
「2人の名前教えて…」

 ◆

 レイ達とともにモロクへやってきた鷹のガイストはモロクの夜空を滑空して
いた。すると別のハンターの鷹がガイストの隣を並走するように飛んだ。どう
やらその鷹はメス鷹のようだ。
 ガイストはメス鷹に忠告するように話しかけた。無論、鷹語。
『お嬢さん、俺の近くを飛ぶと…火傷するぜ』
 メス鷹のハートにその言葉がズッキューンときた(らしい)。ガイストはその
ままメス鷹から離れるべく飛ぶスピードを上げた。メス鷹は慌てたように声を
上げた。
『ああっ…待って!せめて名前だけでも!』
 ガイストは振り返らず、言葉だけを置いて去っていった。
『俺の名はガイスト。また縁があれば会えるかもな』
 モロクの夜景の中へと消えていくガイストの後姿をメス鷹はいつまでも、い
つまでも、いつまでも見つめていた。

 どうでもいい話、完。

 ◆

 レイは宿の窓から夜空を見上げていると、上空からガイストが戻ってきた
ため自分の右腕を窓の外に出した。ガイストはレイの腕に着地すると毛繕い
をはじめた。
「ガイスト、ウェルガはいたか?」
 ガイストは首をふるふると横に振った。
「そっか…これでやることがなくなったな」
 するとジュニアが指をピッと立てた。
「じゃあ街に繰り出してパーっとやっちゃうか」
「何でだよ」
 レイが聞き返すと、ジュニアがさも当然と。
「そりゃ新たな仲間の出会いに乾杯って奴さ」
「あ、それいいね」
「私もいい考えと思いますよ」
 フィリとエリカが同意する。レイはイアルとティアの方を向いた。
「俺も構わないぜ」
「私も〜」
「決まりだね」
 イアルとティアが同意したため、ジュニアはレイが反論する前に決定した。
「わーったよ」
 渋っていたレイも同意した。レイは実はかなりの倹約家なため、渋っていた
のである。

 というわけで6人と1匹はモロクの酒場へと繰り出していった。

 ◆

 銀髪の騎士とエレンはペコペコをモロクの守衛にあずけた後、ルアーナの
案内で酒場へと向かっていった。
「ルアーナ〜まだか〜、腹減った〜」
「私もお腹空きました…」
「2人ともうるさーい!もうちょっとだから!」
 ルアーナが2人をビシぃ!と指差しながら怒鳴った。するとエレンが虚ろな
目で一言。
「大体…マスターがペコペコ全開でぶっ飛ばせば早く着くとか言うから…」
「事実早くついただろ」
 銀髪の騎士の反論にエレンが半眼で答えた。
「ええ、その事は認めますよ。でもですね、いくら時間短縮だからと言って、
お昼抜きはさすがにしんどいかと…」
「ええい!朝飯はちゃんと食っただろうが!」
「パンと牛乳だけですけどね…」
「だあああああ!お腹空いてるならもうちょっと静かにしてくれない!?」
 前を歩いていたルアーナが戻ってきて2人に詰め寄った。
「ルアーナ、俺達は今重要な話をしている。砂漠で餓えたのはどちらに責任
があるかということだ」
「100%!マスターのせいでしょう!そもそも考え無しに旅の初期に食料を食
べまくってましたし!」
 エレンがそう主張すると、銀髪の騎士がふぁさっ…とキザっぽく髪をかきあ
げた。
「ふっ…俺の胃袋はブラックホールなのさ」
「それ意味わかりませんし、反論になってません」
 エレンが即座にツッコミを入れる。
「はぁ…もうどっちでもいいよ…ほら着いたよ」
 ルアーナがため息をつきながら指差した先に銀髪の騎士が視線を向けた。

 酒場『モロクの星』

 ◆

「こっちこっち、うまい酒出してくれる酒場があるんだ」
 イアルの案内でレイ達は夜のモロクの街を歩いていた。
「ほら、あそこ『モロクの星』って言う酒場で、これがまた酒がうまいんだ」
「へぇ〜、結構大きなお店だね」
 フィリが素直な感想を述べる隣でレイが向こう側から歩いてくる3人組に視
線が釘付けになった。レイがフィリのわき腹を肘で小突いた。
「フィリ…あいつってもしかして…」
 レイが3人組の中央にいる銀髪の騎士を見ながら呟くと、フィリの顔が一言
で言えば会いたくない人間に会ってしまったときの表情になった。
「うあ…プロンテラの精錬所で暴れた騎士だ…」
 レイとフィリがどうしようか迷った瞬間、イアルが銀髪の騎士を見て青ざめ
た。
「げっ…!ト…」
 イアルの足が止まった。対面にいた通行人の足が止まったことに気づいた
銀髪の騎士がまじまじとイアルの顔を確認した。そしてすたすたとこちらに
歩いてくる。
「イアルちゃんじゃないか。おにーたまは元気でちゅか?」
 完全に小バカにしたような口調。イアルが額に青筋を浮かべる。それをレイ
が手で制して、銀髪の騎士と対峙する。互いの鼻先が触れ合うかと思うほど
の至近距離で睨み合う。

 一触即発

 銀髪の騎士の連れの2人も、フィリ達も動揺を隠せない。そして静かに銀
髪の騎士が口を開いた。
「お前…」
 その瞬間、レイがプロンテラで買い換えた弓のハンターボウに手をのばす。
銀髪の騎士はそれに臆することなく言い放った。
「誰だっけ?」
「「「だあっ!」」」
 銀髪の騎士以外、全員コケた。

 ◆

「いやー悪かった。そういやこの前プロンテラの精錬所で会ったカップルか」
 酒場『モロクの星』に入ったレイ達と銀髪の騎士達は近くのテーブルを寄
せ集めて、テーブルを囲んでいた。
「ていうかお互い名乗ってないしな。俺はレイ、レイ=フレジッド。プリースト
がフィリ、バードがジュニア、クルセイダーがエリカ、ローグがイアル、マー
チャントがティアだ」
 銀髪の騎士は頷いた後、口を開いた。
「俺の名前はトレント、「トレント★樹海団」のギルドマスターだ。こっちのロー
グがルアーナ、プリーストがエレンだ。あ、ちなみにこの酒場には後3人来る
予定」

 カランカラン…

 そんな音とともに3人の男女が店に入ってきた。そしてレイとフィリ、イアル
とティアがあっと声を上げる。
「バステト、すけぽ、アリシャ、おっせーっての。先に飯食うか迷ったぞ?」
「すいません、取引に手間取って」
「寝坊して」
「モロクは不慣れなんで…」
「おい待て2番目」
 トレントがすけぽを半眼で睨みつける。ちなみに反論した順はバステト、す
けぽ、アリシャである。と、バステトがレイとフィリに気づく。
「あ、プロンテラではどうも。彼氏から買ってもらった指輪は大切にしてま
す?」
「あ…はい」
 悪戯っぽい笑みを浮かべるバステトにフィリは赤面しながら答えた。
「しかし奇遇ってのはあるなぁ」
 そう言いつつすけぽがイアルとティアに手をあげた。昨日、3人はピラミッド
でともにミノタウロスと戦ったばかりである。
 アリシャはハンターである。彼女の肩にはメス鷹がとまっていた。そしてメ
ス鷹はレイの肩にとまっていたガイストに目を向けて驚愕に打ち震えていた。
『ああっ!ガ…ガイスト様っ!!』
 ガイストが鷹語で答える。
『フ…また会っちまったな、お嬢さん』
 どうでもいいロマンスがはじまろうとしていた。

 各々が料理を注文した直後にトレントがレイの方に視線を向けた。
「そっちのリーダーはお前でいいのかな?」
「ああ、一応俺ってことになってるけど、それが何か?」
 トレントは不敵な笑みを浮かべた。
「いや、お互いに6人+鷹1匹いるわけだしな。何か勝負しようぜ」
 その言葉を聞いた酒場の店員が慌ててトレントの元に来る。
「お客様、他のお客様の迷惑になるので…」
 要するにケンカご法度というわけである。
「だーぃじょうぶ!大丈夫!勝負っつってもゲームだよ、ゲーム」
「はぁ…」
 渋々店員が引き下がるとトレントはレイの方に再度視線を向けた。
「どうだ?勝負を受けるか?」
 レイはジュニア達の顔を見回した。どう見ても全員乗り気である。
「いいぜ…その勝負引き受けた!」
 途端にトレントが嬉しそうな表情を浮かべた。
「そう来なくっちゃな!」
 こうして酒場『モロクの星』でレイ達とギルド「トレント★樹海団」の戦い
が幕 を開けたのである。

 [続]


〜あとがき〜
話の内容がROと関係ないナナメ下を行き始めてますが気のせいです。
振り返ってみるとダンジョンにいる時間より街にいる時間の方が長いです。
つーかそっちは別にいいか〜とか思ってます。
バキ!メゴ!とかしつつ延々と魔物と戦ってるよりは、
人と人の触れ合いというか、からみがあった方が楽しいと思いますので。
次回は予告する必要ないですね。
酒場でレイ達とトレント達が激突(?)しますヽ(´∀`)ノ


〜登場人物紹介〜
○トレント
銀髪の騎士。「トレント★樹海団」のギルドマスター。
全てのギルドの中で最も敬われていないギルドマスターと思われる。

○アリシャ
「トレント★樹海団」の女性ハンター。
連れているメス鷹がガイストに一目惚れしている。



〜Web拍手の返答〜
>ナイス害なのか?害なのね?・・・納得(ぁ
納得したらケリ入れますよ^^

>レイピア、ダガー、バトルアックス
>ゲームじゃまず使わないような装備いっぱいですね><
> フィリの装備はスマッシャーあたりかな?
>マイナー武器普及計画期待してます><b
実はフィリの武器はバイブルという設定なんですが使う機会がねぇぇぇorz
第3部じゃ確実にでる予定ですがっ!(謎発言

>コンセント周りのホコリと湿気には要注意ですよ!
これからは目に見えない所も掃除することにしましたorz

>エアダストクリーナーで定期的にホコリをとばすと効果的ですw
ホコリは全部焼失したので、今回だけ掃除する手間が省けました(==;

>ラブコメ<ラブコメリアン<ラブコメリスト トレント三段活用(==)b
>ネタ>ネタリアン>ネタリスト フィン三段活用(==)b

>久々に夢を見たと思ったら、
>すけぽさんがマジンガーZな内容でした(ぉ
リアルすけほに逆らうとロケットパンチで殺されます。

>お茶どうぞ(´・ω・)っ且~~
−=≡旦~)Д`)・∵. グハァ

>小説大好きです。結婚してください
なんだかよくわからないので自分をボッシュートしておきますね^^

    ⌒ ⌒ ⌒
   _⌒ ⌒ ⌒__
  /:::::Λ_Λ:::::::::::::::/
 /::::::(∩;´Д`)∩::::/
/:::::::(     /::::/  チャラッチャラッチャーン



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