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Ocean's Blue

042:Rival Friend

 ガキィィィィィィ!!

 レイはトレント★樹海団の暗殺者であるプレックスター(通称:プレク)の攻
撃をすんでの所で受け止めた。不意の攻撃を止められ、プレクの口元に笑
みが浮かぶ。そして、プレクは技を繰り出した。
「ソニックブロー!!ゼロピー血涙の舞!!」
「クッ!!」

 ゴゥ!!

 レイはプレクのソニックブローの発動に合わせ後方へと跳んだ。たった今
レイがいた場所を凄まじい衝撃波が貫いた。
「新手かよっ…!」
 レイが毒づく間もなくプレクが間合いを詰め──
「ソニックブロー!!綿毛激鬱の舞!!」
「くっ!!」
「ソニックブロー!!S弓グレイトボウの舞!!」
「ちっ!!」
「ソニックブロー!!基本赤ポの舞!!」
「うっ!!」
「ソニックブロー!!マジェでても赤字の舞!!」
「む…」
「ソニックブ…!!」
「やかましい」

 ドガ

 レイの蹴りがプレクの顔面にめり込んだ。プレクがそのまま床へ倒れ伏し
た。レイがため息をついた。
「何だったんだ…一体…」
 レイはそのままプレク(とフィン)を放置して駆け出していった。



 レイの足音が完全に聞こえなくなった後、プレクが身体をムクリと起こし、
フィンの元に歩み寄っていった。
「フィン、起きろ」
 フィンが蒼白な顔で呻いた。
「意識…ある……腹…ヤベェ…」
 かなりピンチらしい。だが、『これでいい』。腹さえ治ればフィンは戦える。
「トレント★樹海団」の損耗は限りなく低いのだ。プレクの──いやトレントの
立てたシナリオ通りに事は進んでいる。
「さて…俺は俺で行動を起こさないとな」
 スゥ…とプレクの姿が闇へと溶け消えた。

 ◆

 コォォォォォ…

 「エンペリウムルーム」に向かうにつれて敵の量が減っていった。フィリとエ
リカは襲いくる「皇帝の十字架」の手勢を倒しながら、そんな事を感じていた。

「敵が減ってない!?」
 フィリが傍で戦うエリカに向けて叫んだ。
「おそらく…配置する必要性がないんでしょう」
 「エンペリウムルーム」にいる男が強すぎるために必要がない。
「…っ!」
 そしてその男の事をフィリはよく知っていた。
「バッシュ!!」
 そして、エリカの一撃が「エンペリウムルーム」の手前にいた最後の敵を薙
ぎ倒した。

 砦の中枢へと続く荘厳なる大扉

 それが、「開いていた」。つまり、誰かすでに「エンペリウムルーム」へと到
達し、戦闘を開始しているということだろうか。フィリとエリカは「エンペリウム
ルーム」へと駆け出したその瞬間、

 ドガォン!!

 爆音がした。そしてフィリとエリカは見た。「エンペリウムルーム」の中、爆
煙の中でフィリとエリカに背中を向けるようにして2人の男が立っていた。

 「雷獣の咆哮」幹部──ウィザードのジャンク
       同じく幹部──ローグのケイル

 ドサ…

 その2人はフィリとエリカが部屋に足を踏み入れた瞬間、崩れ落ちた。
「!!」
 フィリとエリカは驚き、満身創痍その2人に駆け寄った。
「大丈夫ですか!?」
 フィリがヒールを唱えようとしたその手をケイルが止めた。
「やめとけ…後ろを…見たほうがいい」
 続いてジャンクが傷の痛みをこらえながら口を開いた。
「あの男──強すぎる…あれが…『七近衛』…」
 フィリとエリカは2人をかばうように立った。「エンペリウムルーム」の中央に
ある巨大なエンペリウムの前に立つ男と対峙した。
「フィリ=グロリアス、エリカ=フレームガード。ようこそ、「エンペリウムルー
ム」へ、歓迎するぜ」
 その言葉にこめられた圧力感にフィリとエリカが息を呑んだ。
「…っ!!」

 ヴァルキリーレルム砦遠征軍総大将、

 「皇帝の十字架」最高幹部『七近衛』

 「魔人拳」 キスク=リベレーション

「キスク…!!」
 フィリが声を絞り出した。キスクは殺気を隠そうとせずに口を開いた。
「レイは──まだのようだな。お前らじゃ相手にならねぇ、見逃してやるから
さっさと帰れ」

 シャン…

 エリカが綺麗な鞘走りの音ともにレイピアをキスクへと向けた。
「私達のギルドマスターが来るまでよければお相手いたしますよ?」
 フィリもまたエリカの隣に並んだ。
「キスク、油断してると痛い目見るよ」
 その2人を見てキスクの口元に凶暴な笑みが浮かんだ。
「上等だ──かかってきやがれ!「Ocean's Blue」!!」
「ハァァァッ!!」
 その瞬間、エリカが裂ぱくの気合とともにキスクへと踊りかかった。
「甘ぇ!!」
 キスクは両手に身に着けたカイザーナックルでエリカの剣を受け止めた。
半身を高速で回転させ、その勢いでエリカの横腹を蹴り飛ばした。
「あぐっ!!」
 吹き飛ぶエリカに構わず、フィリが魔法を唱えた。まずはキスクの動きを制
限するのが先決である。
「ディクリースアジリティ!!」
 フィリの魔法──対象の速度減少の魔法が完成した。だが次の瞬間、キ
スクが魔法を殴り飛ばした。
「──なっ!?」
 あまりの出来事にフィリが驚きの表情を浮かべた。
「だからお前らじゃ相手にならねぇんだよ!」
 キスクの拳がフィリの肩を撃ち抜いた。
「───っ!!」
 余りの激痛にフィリが息を呑んだ。
「寝てろ」
 キスクが拳を振り上げた。

 次の瞬間、エリカがシールドをキスクに押し当てる形で突っ込んできた。
「シールドチャージ!!」

 ドンッ!!

「ちっ!!」
 キスクが衝撃で吹き飛ばされながら、すぐに受け身を取った。
「ったく…うぜぇな」
 キスクの周りに気が浮かんだ。その気に手を添え、キスクが発射した。
「指弾!」
「キリエ・エレイソン!!」

 ガギギギギギギギギギ!!

 指弾に合わせて作り上げたフィリの結界がキスクの指弾とぶつかりもの凄
い轟音をかなでた。次の瞬間、両手に気を掴んだキスクが突っ込んできた。
「っ!!」
 エリカが迎え撃とうと前にでた。だがキスクはエリカとフィリの横を過ぎ去る
ように、交錯し、指弾を「下」へと放った。

 ゴゥン!!

 指弾が床へと炸裂し、「エンペリウムルーム」の巨大なタイルが浮き上が
る。フィリ達の立っていたタイルが浮き上がった。
「──え!?」
「──な!?」
 思わぬ事態に体勢を崩されたフィリとエリカが悲鳴を上げると同時に、浮き
上がったタイルへと向けてキスクが手を添えた。
「発勁」

 ドン!!

 衝撃がタイルごしにフィリとエリカの身体を貫いた。
「あぐっ!!」
「ううっ!!」
 思わず悲鳴がもれるほどの痛みが2人を襲った。そしてキスクが痛みをこ
らえうずくまる2人の前に立った後、口を開いた。
「2人がかりなら勝てるとでも思ったのか?ざけんな」
 キスクが2人の意識を断つべく拳を振り上げた。

 ビョゥ!!ガキィィィッィィン!!

 突然、脇から飛んできたダガーをキスクが弾き飛ばした。キスクがダガー
を飛ばした「エンペリウムルーム」に新たに現れた男の方に視線を向けた。
「お前は…」
「「Ocean's Blue」、イアル=ブラスト。次は俺が相手になってやるよ」
 キスクは一瞬目を伏せた後、見開いた。キスクはその場からイアルの手前
へとジャンプした。

 ズン!!

 キスクの着地とともに煙が舞い上がる。
「上等だよテメェ、時間稼ぎにもならない力の差ってのを見せてやるよ」
「…っ!」
 イアルは油断なく身構えた。だが力の差は歴然としている。コイツは──
強い。レイが──来るまで時間稼ぎ出来ればいい方だろう。

 ブゥン!!

 鉄槌のようなキスクの拳をバックステップで避けたイアルは懐から8本のダ
ガーを取り出し、片手の指の間に4本ずつ持ち、キスクへと放った。
「ハァッ!!」

 ドン!!

 気だけでキスクはそのダガー全てを弾き飛ばした。
「小手先の技術なんざ俺には通用しないぜ?」
「…っ!」
 やはり──次元が違う。そしてイアルはこの瞬間、唐突にソレに気が付つ
いた。しかし「皇帝の十字架」の最高幹部とうたわれる『七近衛』の実力、異
常すぎる。だが──それでも──
「俺は負けるわけには──いかないんだよ!!」
 イアルがキスクに向かって突っ込んだ。だが、キスクはイアルへと向けて
淡々と言葉を紡いだ。
「意地や信念だけで勝てるほど、この世界は…『ギルド攻城戦』は甘くねぇ」

 ───ガン

 キスクの首筋にダガーで斬りつけたはずのイアルが驚愕の表情を浮かべ
た。硬い。これは、一体。
「金剛──これにより俺の肉体は鋼のごとき肉体へと変貌する」
「…な」
「腹に力入れとけ、死なないようにな」

 ──────────────────ド!ガン!!

 キスクの右ストレートがイアルの腹部に炸裂し、イアルは砲弾のごとく吹き
飛んだ。瓦礫を巻き込み壁へと激突し、イアルは気を失った。

 イアルを一撃で倒したキスクは金剛を解除し、通常の身体へと戻り、ゆっく
りと振り返った。
「フィリ=グロリアス、エリカ=フレームガード。まだ──やるか?」

 ソレに気付いたフィリとエリカが思わず息を呑んだ。


 ──信じられない。


 ──本当に信じられない。


 ──だけど、


 ──きっと──来てくれると思ってた。


「キスク、油断してると足元すくわれるぜ」
「何!?」
 突如、頭上からかかった声にキスクが驚きの表情を浮かべた。

 気配を消し───エンペリウムルームへと侵入し──

 そして、レイ=フレジッドはエンペリウムルームに下がっているシャンデリア
から飛び降りた。両の手に2色2種の宝剣を持ち。キスクが叫んだ。
「レイィィィィィッ!!」
 キスクの拳とレイの宝剣が激突した。

 ドガァァァァッ!!

 衝撃が巻き起こり、風が吹き荒れた。レイが床に足をつき、キスクと対峙し
た──次の瞬間、2人の間で攻撃の乱打が激突した。
「くっ…!!」
 苦い表情を浮かべてキスクが一歩後退した。突然の頭上からの攻撃に無
理に対応しようとしたため、利き腕の拳をかなり痛めてしまったのだ。もし、
レイが通常の不意打ちを仕掛けていたなら、「拳を痛める」ようなことはな
かっただろうが。
「クソッ…まさかシャンデリアにぶらさがるとはな、仲間を見捨ててか?」
「バカ言え、イアルは俺に気付いてたさ、イアルがお前に突っ込む直前くらい
にな」
 レイが両の手にもつ宝剣をそれぞれ逆手に持った。
「キスク──俺は這い上がってきたぜ」
「ああ、お前ならきっと来ると思っていたさ」
 キスクは痛めた拳に構わず、両手を振り上げ、床へとたたき付けた。
「ッラァァァァアアアアアアアアッ!!」

 ゴゥン!!

 キスクが電撃にも似た闘気をまとった。バチバチと音を立てながらゆっくり
と歩み始める。その姿はまるで鬼神のごとくである。
「爆裂波動────コイツは俺の本気の証さ」
 キスクの声には楽しげな色が混ざっていた。本気で戦わねば、負けてしま
うのがわかったから。レイ=フレジッドは間違いなく強い。

 「神雷」 レイ=フレジッド

 チェンリム砦では「トレント★樹海団」にすら遅れをとっていたが、いったん
攻勢にでると、これ程までに強い。それはレイだけではない。レイの仲間達
である「Ocean's Blue」の面々もそうだ。フィリもエリカもイアルも数々のギル
ドを処刑してきたギルド「トレント★樹海団」のメンバーを打ち倒し、ここまで
来た。そして先ほどの自分との戦い。

 「発勁」や「金剛」まで使わさせられたのは久しぶりである。

 世界ナンバー2、3のギルドと目されていた「絆の旋律」、「光の翼」の連合
同盟ですら、指弾を使う程度で始末できていた。

 認めよう、コイツラは強い。「Ocean's Blue」は強い。

 そして、レイ=フレジッドは、俺の親友は強い!!

「キスク──決着をつけようか」
「レイ──返り討ちにしてやるぜ」
 レイにキスクが親友かどうかを尋ねればレイはキスクの事を親友と答える
だろう。同様にキスクにレイが親友かどうかを尋ねればキスクはレイの事を
親友と答えるだろう。

 そう、親友だからこそ譲れないものがある。

 わかり合えるからこそ、相手の信念が生半可でないとわかるからこそ、

 俺たちは本気で戦わなければならない。

 己の信念を力へと変えて、勝利を掴み取るために。

「宝剣の輝きと俺の信念を見せてやる!「魔人拳」!!」
「真なる阿修羅の憤怒を教えてやるぜ!「神雷」!!」

 2人の決戦が──始まった。

 [続]


〜あとがき〜
バトルで何話も埋めるのって結構ヘヴィだぜ…orz
『ギルド攻城「戦」』編なんで仕方ないっちゃないですが。
次回予告、おいときますね。
壁|∀`)つ[阿修羅覇凰拳]



〜Web拍手の返答〜
>腹痛のまま気絶って漏れてるんじゃ・・・(*ノノ)
そんな事言うとどつきますよ!

___  パカッ  ◎────◎   
| |ミ    /         \
| |    /            \.    | | ガッ
|__.| _∠_            ◎   | |
∪ |::━◎┥∪          /    人
 V|    |V           /    <  >__Λ∩
  |:日 日:|          _/  //. V`Д´)/ 
  └┬┬┘        (_フ彡        /

いや、なんていうか投げっぱなしなネタですいませんorz


>小説進んでる・・・・・
1週間1話ペースはトレントの生活を著しくかき乱しております(死


>すけぽさんが聖闘士星矢のアルデバランのように感じた今日この頃
すけぽは金ピカに光ってませんよ!?(;´Д`)


>そいえばスパノビ出てないね…(・∀・)
  ∧_∧   \\    ♪
  ( ・∀・)   }三{  /
 と    つ==□    ピコッ!
   Y  イ    }三{
    し'ヽ_)   <  >_Λ∩
           (^V`Д´)/
         〉     /


>密かにヘイムでアサシン作ってます(=w=)ノ
>小説にえいきょうあるかな?w(=w=)ノ
名前わからんしムリっすorz
基本的にオーケーよって言ってくれた人しか出してませんので…


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