[注意]
 「Ocean's Blue」第1部、第2部を読み終わってから読んでください。



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真紅幻想

000:もう一つの序章

 それは、イズルードの剣士転職所での出来事だった。

 このルーンミッドガルド王国は多くの冒険者が生まれ、旅立っていく場所。
冒険者を志すものは、この国で初期冒険者『ノービス』と認定され、その腕を磨いていく。
ノービスとして初歩的な冒険者としての技術を手に入れた者達が、それぞれの道に
あった職業へと転職していくのだ。ある者はシーフへ、そしてある者はマジシャンへ。

 そしてここ、イズルードの剣士転職所に足を運ぶ者は、当然ながら『ソードマン』、
すなわち剣で生きる職業を志す者たちである。
 が、当然すんなりとソードマンになれるわけではない。その適正があるかどうかの
試験を受け、合格したもののみが剣の道を進むことができるのだ。

 そして今も実技試験が行われたばかりであった。合格者は10名中2人。
合格者の1人は文句なし合格であった。力も技も兼ね備えたすばらしい結果を残していた。
 そしてもう一人は―

「ふむ…ぎりぎり、合格だ。というか君、絶対シーフになったほうがいいよ」
「俺は剣士になりたいんですが」
「しかしねぇ…体力ないし、力ないし、無駄に速いし、無駄に器用だし」
「試験は合格でしょう!?」
「ギリギリね…」

 もう片方の合格者と試験官がそんな押し問答していた。試験官としては親切で
言っているのだが、その合格者の黒髪の少年は聞く耳を持たない。

「しかたない。合格はしてるのだから君の意思を尊重しよう」

 ようやく、許可が下りる。

「では2人はこちらへ。『ソードマン』としての認定と、装備を支給します」

 奥の部屋で2人は、ソードマンとしての認定、すなわち力を授かった。剣士としての
力をその身に宿す儀式を行ったのだ。
 先の試験はこの儀式に耐えれるか、の試験でもある。耐えれないものがこの儀式を受ければ―
それは死につながるのだから。

 無事儀式を終え、剣士としての強靭な力をその身に宿した2人は、装備を受け取った。
剣士には片手剣か、両手剣が支給される。ある程度は国からの保証を受けれる身となるのだ。
その分、国の一大事には協力するという義務もついてくるのだが。

 2人とも、迷わず受け取ったのは両手剣だった。…が。

 黒髪の少年のやり取りのせいでかなり待たされていたもう一人の合格者、銀髪の青年は
不機嫌な態度を隠さずに口を開いた。
  
「…お前、見得張りすぎ。身の程わきまえて片手剣もらっとけよ」
「余計なお世話だ。考えがあるから両手剣使うんだよ」
「ほー。あんなひんじゃくなもやし君でもなんか方法あるのか」
「お前…喧嘩売ってるだろ!」
「ソンナワケワカメチャン」


 前代未聞、転職直後に斬り合った2人の新人ソードマン。
 そして、試験官たちも驚いたその結果は、引き分け。

「プッ」

 取り押さえられながらもそんなことをやっていた銀髪の青年―トレント。

「ゴルァァァァァァァァァァァ!!」

 途中で床板踏み抜いて身動き取れなくなった間抜けな黒髪の少年―フィン。


 ある意味因縁の対決は、出会いの瞬間から始まっていた。
 そして、運命の歯車は回りだす。


 すなわち、トレント★樹海団の歯車は、ゆっくりと回りだしていた。



 Ocean's Blue外伝 〜真紅幻想〜



「えーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 イズルードの宿屋に女性の声が響き渡った。

「びびったぁぁぁぁぁぁ!?何叫んでるんだよ!!」
 
 その叫び声にびっくりして、椅子から転げ落ちたのは例の黒髪の剣士、フィンだった。

「だっておかしいでしょ!何で都市の名前がわかるの!?」
「知らんわい!俺だって驚いたけどルアーナの叫び声でもっと驚いたわ!!」

 叫んだ少女、シーフのルアーナに怒鳴り返しながらフィンはようやく身を起こした。

「だってさ、コモドとかそういう都市名じゃないんだよ!?普通聞かないような都市名
 なんだよ?」

 やや落ち着きを取り戻したルアーナがテーブルに乗り出していた体を椅子に戻した。

「だよなぁ。ルアーナが変な話をはじめるからもしかして、と思ったわけだが…
 まさかほんとに一致するとは思わなかったぞ…」

 2人はよく見る夢について話していたのだった。遠い幻想の中に見える街。


 ―真紅都市ルアーナ―


 そう、ルアーナと同じ名前の都市。だが、その名前に間違いは無い。2人は確かにその
夢の中の街の名前を知っていた。

「どういうことだろう。幼馴染とかだったらわからなくも無いけど、まだ組んで1週間
 ちょっとの私たちが偶然同じ夢見るなんて」
「まあ、確かになぁ…。トレントのやつに変な薬でも飲まされたかな…」
「…否定できないわね」

 あのトレントならやりかねん。2人ははぁ、とため息をついた。
 あの因縁の転職から、なぜか組んだトレントとフィン。トレントと元々組んでいた
ルアーナを含め現在は3人PTである。

「「でも」」

 2人は同時に否定の言葉を口にした。
 そう。夢を見るのは組む前からだ。出会う前から見ている夢が一致しているのだ。

「…そうだな。ちょいと調べてみるか」

 フィンはそう言って立ち上がる。

「調べるって…」
「プロテンテラに行けばなんか情報あるだろ。どうせちょうど武器の修理に行くんだから
 ついでさ」
「ああ、トレントにいっぱい刃こぼれしたナイフ渡されてたわね…」
「一昨日どっちが修理に行くか徹夜で麻雀したからな…熱かったぜ…」
「最後チョンボで負けたってやつ?」
「言うな!」

 叫ぶとフィンは荷物を肩にかける。背中には、両手剣に分類されるカタナを装備して。

「2〜3日もすれば戻るよ。儲け話でもあれば持ってくるから」
「ああ、うん。いってらっしゃい。気をつけて」
「さんきゅほげっ!」

 外に出た瞬間、超特急のペコペコに跳ねられるフィンがルアーナに見えた。

 ◆

「で、どういうつもりだ?」

 剣士転職所から出たフィンは、トレントからいきなりイズルードの北にあるアリーナ
に付き合わされていた。

「どうもこうもねぇ。続きだろ」

 トレントはにやりと笑う。勝負はついていないだろう、と。

「そのためにわざわざ声かけたのかよ…」
「そのネタっぽい顔が気に食わん。つぶしてやる」
「誰がネタっぽい顔だぁぁぁぁぁぁ!」

 2人が剣を抜く。フィンはカタナを、トレントはスレイヤーと呼ばれる両手剣を。

「死ねボケ!」
「死ねるかアホ!」
「んだとこのネタ!!」
「黙れラブコメ!!」

 2人が声を発するたびに剣が打ち合う。火花が散る。

 ―思ったとおりだ

 トレントは楽しそうに笑う。

 さっきもそうだったのだ。剣士としてはありえないくらいに力が無いフィン。
それなのに、打ち合うとなぜか互角に近い。自分とは極対の型をもう少し確かめたくて
ここにこいつを誘ったのだ。

 ヒュッ!!

 フィンが紙一重でトレントの横薙ぎの一撃を屈んでかわすと、立ち上がりながら逆袈裟
に切り上げる。

「バッシュ!!」

 ガギッ!

 剣士の基本技、バッシュ。力ある一撃は、受け止めたトレントの体を浮き上がらせる。
しかし、トレントもその隙に付け込ませなかった。

「マグナム…ブレイク!!」

 宙に浮いたトレントから、小規模な爆発が発せられた。剣士にとっては大技に入る技、
マグナムブレイクはフィンを文字通り吹っ飛ばした。

「ちっ。足が地に付いてりゃ終わってたのによ」

 トレントが剣を構えなおす。

「強引な技を使いやがって…」

 立ち上がりながらフィンが毒づく。


 ―こいつは手ごわい。手を抜けない


 お互い、それを再認識すると同時に息を吸い込んだ。
 本気だ。隠すものはいらない。

 フィンがトレントに斬りかかる。速い。1次職とは思えない速さだ。だが
それを予測していたトレントは、その速さを逆手に取る。相手が踏み込んだ直後―
トレントの手から3つの刃が飛んだ。フィンの逃げ場をなくすようにソードナイフが。
トレントは勝利を確信した。
 フィンはトレントに肉薄した。そして、間合いの外から一気に踏み込んだ。
それはフィンの速さが可能とする技。フィンが一瞬、驚異的な加速をした。
無拍子、と呼ばれる技に近いかもしれない。相手の虚をつき、反応する前に間合いを
詰め、一気に切り伏せる。フィンは勝利を確信した。

 お互いがお互いの予測を超えた。トレントがソードナイフを投擲した瞬間、フィンは
自分の剣の射程にトレントを捉えようとしていた。

「なっ!」
「くっ!」

 フィンは無理やり体を捻り、さらに剣でソードナイフを弾いた。体勢を崩したフィンは
まだ迎撃体勢が整ってないトレントに文字通り衝突した。トレントもとてもかわせなかった。

 お互いがお互いの勝利の確信を打ち砕いた。意外だった。そして楽しかった。
 こうも予測を超えてくるやつがいるのか、と。
 2人は自然と笑っていた。

「面白いな、もやし」
「俺の名前はフィンだ!変な名前つけんな!!」
「それじゃフィン。この勝負は俺の勝ちってことで終わって、俺と組まないか」
「なんでお前の勝ちなんだよ!!…って…へ?」
「俺の下僕にしてやるっつってんだよ」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 だが。戦闘は終わっていた。2人の体力が限界に近いのもちろんだが、既に戦う気がうせていた。

「よし、それじゃこうしようもやし君」

 トレントの口車に乗せられ、腕相撲対決で惨敗したフィンは、トレントと組むことになった。


 ちなみに、しぶしぶトレントと宿屋に行ったフィンに、ルアーナは出会って早々こう言った
という。

「ご愁傷様」


 [続]

 〜あとがき〜
  Ocean's Blueの外伝です。しかも作者違います。しかも無許可です!!
 どうしても書きたくなりましたOcean's Blueのトレント★樹海団集合編!
 実際樹海団に焦点合わせると1つの物語が出来るんですよOcean's Blueは!
 こんな材料置いとくのがもったいないので勢いで書いてしまいました。
  当然…表現力に乏しい俺ですからトレントさんの本編に比べるとはるかに
 出来が悪いです。ご了承ください。
  まずは樹海団ナンバー1〜3が出会うとこからです。ここからが樹海団の
 始まりだろう、と勝手に位置付けて書きました。これからも勝手に書きます(オイ
 苦情はトレントさんまでお願いしますね^^

 ---ここより下、トレント執筆----------------------------------

 苦情知らんがな!と、いうのは置いといて外伝です。位置づけとしては
「Ocean's Blue」のサイドストーリーということになります。つまり、この
外伝が本編に絡むこともあり、樹海団を中心とする物語が展開されます。
すでにフィンさんとのある程度の打ち合わせは行いましたが、俺もどーなるか
よくわかってません。一応ストーリー自体には目を通してますし、本編の
世界観を崩すことは多分ないと思います。
 では、「Ocean's Blue」と合わせて「真紅幻想」をお楽しみください。


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